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安田記念2着のヴァンセンヌはディープとフラワーパークの子

ヴァンセンヌは、父ディープインパクトと母フラワーパークという超良血馬で、2012年のデビューから2015年に引退するまでに、通算16戦6勝2着3回と好成績を収めました。

特に充実期を迎えた5歳秋から6歳春にかけては、条件戦から4連勝でG3の東京新聞杯を制覇、東京競馬場で開催されている春のマイル王決定戦、G1レースの安田記念では、後に香港マイルをも制したモーリスの2着に入り、マイラーとしての高い資質を証明しました。
好走したレースの多くで、上がり3Fのタイム1位を記録、レースの流れに乗りつつどの馬よりも速い脚で差し切る様は、絶対的な能力の証とも言えます。

ファンの多かった母フラワーパークは、父ニホンピロウィナーと同様スプリンターとして活躍、中山競馬場で行われる伝統のスプリンターズステークスや、G1レースに格上げされ三冠馬ナリタブライアンも参戦した第1回高松宮記念など、G1スプリント戦を2勝していましたが、なかなか産駒に恵まれていませんでした。

2012年、3歳4月という遅いデビューを阪神競馬場で迎えたヴァンセンヌは、新馬戦を快勝しましたが、続く京都新聞杯では距離が長かったこともあり、後の日本ダービー3着馬のトーセンホマレボシ以下に3秒差の12着と完敗、年内にもう1戦し、3歳時は3戦1勝で終えました。

4歳になり、2月の京都競馬場で行われた芝1800mの500万条件戦で快勝、その後2戦しますが、1000万クラスの壁を超えられず、やはり3戦1勝で4歳を終えます。

5歳になってからは急激に力をつけ、復帰戦は2着に敗れるものの、福島競馬場芝1800mの小峰城特別、東京競馬場芝1600mのエクセレントJT、阪神競馬場芝1600mの元町Sと、いずれも異なる条件下で3連勝をあげ、5歳時は4戦3勝2着1回という好成績で6歳を迎えます。

6歳初戦は先を見据え、安田記念と同じ舞台で行われるG3東京新聞杯を選択、連勝中とはいえ重賞初挑戦ということもあり、3番人気とさほど高い評価ではありませんでしたが、レースでは中団を追走、直線で抜け出しそのままゴールまで押し切るという横綱相撲を見せ、マイル重賞常連馬のフルーキーやエキストラエンドといった出場馬を相手に、見事重賞初制覇を飾りました。

続く安田記念前哨戦の京王杯スプリングカップでは、やや後手を踏み、スローペースにも関わらず後方からの競馬となりましたが、絶望的な位置から直線だけで追い込み2着に入り、驚異的な瞬発力をみせつけました。

本番の安田記念で3番人気に推されたヴァンセンヌは、中団を進むも馬群に包まれてしまい万事休すと思われましたが、馬群をこじ開けて力強く伸び、モーリスの2着と善戦しました。